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本の感想

戦う理由と死ぬ理由

2005年9月5日。浅田次郎著「歩兵の本領」の感想。

戦争終結60年だからというわけじゃないけど、母校の先輩である浅田次郎氏の「歩兵の本領」なる本を読んだ。
70年代の自衛隊の一兵卒を主人公にした短編小説集なんだけど、かなり良かったねえ。
「涙ながらに」とか「涙声で」とか「涙をこらえて」とか随所に「涙」っていうキーワード満載。当然こっちも涙するわけ。山崎豊子風に言うと、慟哭を禁じ得ない。
軍隊とか自衛隊というところは理不尽な連帯責任っていうのがある。例えば隊の中で一人でも遅刻者がいると全員腕立て100回とか。そういうのがバカらしいなあって思ってたけど、ちゃんと理由があるのね。つまり戦争では一人のちょっとしたミスがきっかけで全員が死んじゃうわけ。腕立て100回どころじゃすまないの。しかも当然理不尽に死んじゃう。理由なんかないし、考えちゃいけない。そういうのを骨の髄まで染込ませるために、理不尽なしごきがある。戦争で死んだ人達は、自分が死んだ理由なんて理解できずに死んだんだなあと思うと、また泣けてきた・・・。

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