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本の感想

しょっぱいドライブ

生まれて初めて本をタイトル買いしました。

「しょっぱいドライブ」

なんとものどかな感じ。しかも聞けば第128回芥川賞受賞作品だと言うじゃないですか。
手に取ったのも何かの縁だと思い買いました。
・・・が、しっぱい。いやしょっぱいと言ったほうが気が利いているか。
3つの短編が収められてるんだけど、どれもこれもしょっぱい。切ないとか悲しいとかじゃなくてしょっぱい。
全ての登場人物が好きになれないの。無気力でけだるい調子。
思わず「芥川賞」ってなんなのよって思って調べてみました。
芥川賞と並んで直木賞が有名なわけで、なんとなく響きからして、芥川賞のほうが難しい作品で、直木賞が分かり易い作品なのかと思ってたら、芥川賞は新人が対象で、直木賞はある程度のキャリアを積んだ作家が対象らしい。
まあ、新人なら許せるか・・・。
いや許せるとか許せないとかそういう話じゃないか。
しょっぱすぎました・・・。

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本の感想

モーターサイクル・ダイアリーズ

税理士試験の受験が終わって久しぶりに読書でもしてみるかと手に取った本が、
チェ・ゲバラのモーターサイクル・ダイアリーズ。
映画を見たことがあったし、革命家チェ・ゲバラというよりも、青年エルネスト・ゲバラくんの旅行記なので、気楽に読めるかなと。
ところがどっこいGoogle翻訳で訳したのかと思うくらい読みづらい文章で、かなりつっかえつっかえ読みました。モーターサイクルも途中から全く関係なくなってしまいます(笑)。
この南米旅行が革命家チェ・ゲバラの原点だという話もあるけど、あんまりそうは感じなかったな。南米を深く知るきっかけにはなったようだけど、社会を変える決意をしたというよりは、医師になる決意を強くした感じがする。
おそらく革命家になるきっかけは2度目の南米旅行なのでしょう。そして巻末のキューバ革命後のチェ・ゲバラの演説を読むと、ゲバラは革命活動を通じてより革命家としての志を強くしたことがよく分かる。結局このチェ・ゲバラの演説の部分が一番面白かった・・。

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本の感想

P2

秋に京都に遊びに来たEから借りたサスペンス系の小説。
舞台がバチカンだったので、年末年始にローマに旅行する前に読んでみました。
ダン・ブラウンの天使と悪魔をちょっと安っぽくしたような感じなんだけど、かなり史実に忠実に作られているらしく、旅行前の勉強としては凄く良かった。
まず1978年に在位期間わずか33日で亡くなったローマ法王がいたということに驚きました。かなり短い在位期間が故に、このヨハネ・パウロ一世の死については当然様々な陰謀説がうずまくわけで、「P2」のような小説が誕生するのもうなずける。
33日という数字は、キリストが亡くなった年齢(33歳)と一致することもまたドラマを感じさせてしまう。
と、まあ素材はすごく良いと思うんだけど、ストーリーは荒削りだったなあ。謎の種明かしも、ふーん、ああそうですか、という程度。ロンドンとかリスボンとかヨーロッパ中を舞台にしているけど、伏線の全てがことごとく深みが無い。
バチカン、フリーメイソン、CIA・・・サスペンス小説にありがちな要素が盛り込まれ過ぎなんだと思う。
物語に深みをもたせるために、この小説が事実に基づいていると思わせる仕掛けが最後に待ってるけど、まあ単なる演出だろうなあ・・。
一応あとがきによれば、2018年9月29日にヨハネ・パウロ一世の死に関する証拠文書が公開されることになってるらしい。
そんなに待てないから、ウィキリークスで公開されないかな?

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本の感想

悩む力

姜尚中。
僕は日本で最も賢い雰囲気を醸し出している人といったら、真っ先にこの人を思い浮かべます。
学生の時に良く見ていた朝まで生テレビで活躍していたのを良く覚えています。
落ち着いた低い声で語りかけるその話し方もとてもクール。
賢い雰囲気だけでなく、ホントに賢い。
でも、今まで姜尚中の本は1冊も読んでなかったんだけど、ナンバーで長谷部がこの本をオススメしていたので読んでみました。
哲学的でよく分からん部分もあったけど、自分なりに解釈した結果強く共感できるところが多々ありました。
タイトルに「悩む」という言葉があるだけに、正解とはこうだと決めている感じは無く、読み手に対して「あなたはどう思いますか?」と語りかけているよう。
僕が感じたのは人とのつながりのあり方。
今はメール、ブログ、ツイッターで世界中の人とやり取りできる。僕も京都に引っ越した今でも友達との距離感を簡単に縮めることができる。知らない人とすらコミュニケーションできる。便利。
だけど、それで充実したコミュニケーションがとれているかというとそうではないと思う。
やっぱりコミュニケーションはface to faceだと思う。もちろんテレビ電話とかそういうことじゃなくて、実際に会って空気を共有するってこと。
メールやツイッターはそれを補う道具であってほしい。メールがきっかけで久しぶりに友達と会うことが出来たら良いと思うけど、メールしてるから会わなくていいやってなったら本末転倒だと思う。
必ずしも「便利、楽=幸せ」ではないってこと。
そのバランスは一人一人が悩んで答えを探さなくてはいけない。でもどんどん人は便利とか楽に流れていく。あんまり悩まないとそのスピードはどんどん増していく。
そんなことを強く思いました。
これは本からの引用ですが
「不自由だからこそ、見えていたものがあった。自由になったから、見えにくくなったものがある。」
そういうことだと思います。
これって、長渕剛のSTAY DREAMと全く同じですね。
「尽きせぬ自由は、がんじがらめの不自由さの中にある」
たまには、こういうこと考えると良いと思いますよ。

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本の感想

小さなスナック

リリー・フランキーとナンシー関の対談集。女性誌「CREA」の連載を本にまとめたもの。
二人とも色々な顔を持つけど、一番大きな看板はイラストレーターだと思います。
二人に共通するのはイラストレーターという肩書きだけではなく、「独特なモノの捉え方」が世間で評価されているということじゃないでしょうか。
この本はそれを証明していると思います。
ナンシーさんは凄く毒舌というイメージがあったけど、あまりにリリーさんが子供っぽいので、この対談では大人役を担ってバランスをとってるように感じます。
その辺りにも頭のキレを感じるなあ。
二人とも、頭が良くて自分に正直なところが素敵。自分がやりたくないことはやらない。やりたいことを一生懸命やる。そんなシンプルなことが出来てる人って実は少ない。
そんな二人が言いたいことを言ってる本ですね。
時折
「そりゃああんた、自分勝手だよ」
ってあきれちゃうところもあるけど、僕らがなんとなくもやもや感じていたことを的確に言い当てていることが多くて、思わず「なるほど!そうそう分かる!」ってうなずいちゃいます。
ナンシー関さんの消しゴム版画には、版画に彫っている人の人柄を面白くかつ的確に表現している一言が書いてあるけど、それに似た「的確さ」をビシビシ感じられる一冊です。
ご存知の通り、ナンシーさんは2002年に他界してしまいました。この本の連載中だったそうです。バカな話を山盛り読んだ後に、リリーさんのナンシーさん宛のメッセージを読むと泣けてきちゃいます。
ナンシーさんが亡くなった時は、ふーんとしか思わなかったけど、惜しい人を亡くしたんだとやっと分かりました。
それにしてもこの対談は「CREA」で連載されていたとのことですが、こんな対談を女性が喜んで読むんですね。それもちょっと意外でした。

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本の感想

伝える力

仕事で上司や他の部門の人に報告あるいは説明をする機会が最近多くなってきて、自分は知ってるけど、相手は知らないことを伝える難しさを痛感していました。
そんな僕にとって「伝える力」というこの本のタイトルは、思わず衝動買いしてしまうのに充分なインパクトでした。
著者は週刊こどもニュースの池上彰。どうやらベストセラーらしい。
「伝える力」を説明している本だけあってかなり読みやすく、理解しやすい。
書かれていることは特に目新しいことはあまりないんだけど、実践できているか?ということになるとあまり実践できていないのかもしれない。
一番身につまされたのは「演繹法」と「帰納法」のくだり。
前提ありきで話を進めるのが演繹法。いろいろな情報を集めて結果を出すのが帰納法。
本にも書いてあるけど、ビジネスパーソンの場合は時間がない為に演繹法を用いることが多い。全く同感。大体の感と経験から結果を決めつけて、その結果を理論武装する形で報告書を作ってく。途中であれ?間違ってるかもと思ってもなかなか引き返せない。
そういう報告は大体ダメね。相手に見抜かれて突っ込まれて、ゴメンナサイってなるのがオチ。とはいえいちいち膨大な時間を費やすわけにもいかないビジネスマンには緩やかな演繹法をお勧めしています。
仮説を立てて検証を行い、仮説と違うことに気づいたら潔く軌道を修正する。
それまでの検証が無駄になるなんて思っちゃいけません。仮説をくつがえす事実を発見した時に思わず見なかったことにしようとしてしまいがちだけど、そこは冷静に事実を見ないとダメですね。
うん。これもまあ分かっちゃいるんですよ。ただやっぱり実践できてないんですよね。
この本を読んだからって心が入れ替わるわけじゃないだろうけど、ちょっとでも気を付けてみようと思ったりしました。
あと、良いアウトプットをする為には、たくさんインプットせよとありました。
つまりたくさん本を読みなさいと。
そうだよなあ。これも分かっちゃいるんだけど、最近全然本を読んでないな。
いかんいかん。

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本の感想

佐藤多佳子「一瞬の風になれ」

去年の4月に営業から経理部に異動になって、経理の勉強をしなきゃいけなかったから、1年以上小説を読んでなかった。
ま、今も勉強しなきゃいけないことは山ほどあるけどちょこっと落ち着いてきたので久々に読んでみました。日々の生活があまりに無機質な感じだから、とにかく熱く純粋に感動できる本を!ってことで本屋大賞を受賞した佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」をチョイス。イチニツイテ、ヨーイ、ドンの全3巻だけどあっという間に読んじゃった。
もうどっぷり青春。高校3年間の陸上部生活がしっかり描かれてるから読み終わったときは自分も卒業したような気分になったな。
損得感情なんて一切なくて、シンプルにただ速く走りたいっていう熱い思いを感じられたのが良かった。
速く走るっていうシンプルなゴールに向かってまっしぐらに突き進むことによって、人間的にもとても成長していく過程が良かったな。新二も連も仲間を思いやる気持ちとか、人を育てることとかが自然と身に付いていく。
特に連の成長が良かったな。些細なことかもしれないけど食べ物の好き嫌いが無くなるとか微笑ましかった。これも軸には「速く走る」っていう大きな目標があるからこそ。
結果的に速く走れたかどうかっていうのは実はそんなに大きな問題じゃないと思う。本気の努力は報われるということも描かれているけど、それよりも僕は本気で努力することの大切さを感じた。だからこそ物語がああいう終わり方になってるんだと思う。
競技のメインが4継(400mリレー)だったのも良かったな。
心に残ったのは
「人生は、世界は、リレーそのものだな。バトンを渡して、人とつながっていける。一人だけではできない。だけど、自分が走るその時は、まったく一人きりだ。誰も助けてくれない。」
っていう新二の思い。
チームワークは馴れ合いと紙一重だけど、一人一人がきっちり役割を果たすことが本当のチームワークなんだよな。
なんかそういう仕事してみたいなーってふと思った。
春野台高校の陸上部にすっかり共感しちゃったので、続編というかサイドストーリーみたいな物語が読みたいなー。

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本の感想

経理部に配属されたらこの本を!

ながらくブログを更新してなかったけど、会社で異動になりました。
営業から経理に異動です。ま、希望だったわけだけども特に資格を持っていたわけでもないし、勉強をしていたわけでもないから、今のところいっぱい本を読んで必死に勉強中です。
ということで4月に読んだ経理・会計の入門編の本をとりまとめ。自分の備忘録として。

最初に読んだのがこの「会社の「経理」がよく分かる本」
会社のみんなが読み終わった本を寄付する本棚に置いてあったので、さらーっと読んでみた。もちろん理解不能なところもあったけど、おおよそ分かりやすく書いてある。経理部の人向けというよりも、ビジネスマン全般に向けた社会人としての最低限の知識を書いてある感じ。
ちょっと困ったのが、かなり古い本だったてこと。1997年の3刷の本だから僕が入社する前の本だ。当然会社法とか金融商品取引法なんて言葉は出てこない。
この本を読んだ時はまだ「仕訳」という単語を知らなくて、勘定式の計算が全く理解できずちょっと困った・・(ま、今もまだよく分かってないけど)

で、仕訳とは何ぞやってところから始めなきゃいかん!って思い知った僕が次に読んだ本がこれ。
「簿記と経理の基本がわかる」という本。よくよく見ると凄いタイトルですね。なんでしょこの違和感。タイトルが動詞で終わってるのが凄いんだな。映画でいうと「タイタンズを忘れない」って感じか。「基本がわかる本」よりも「基本がわかる」って言われた方が説得力あります。で、僕がさらに惹かれたのがサブタイトル「仕訳の実例満載!」。
勘定科目がたくさん出てきて、実際の仕訳例が載ってるのが理解しやすいです。今このブログを書く為に見返してますが、最初に読んだ時にはあまり理解できなかったことが今ならすんなり理解できそうです。実例が多いので、仕事にちょっと慣れてきたら読むと良いのかもしれません。

簿記の基本的な仕組みが分かった後で、読んだのがこれ。
「会計のことが面白いほどわかる本(会計基準の理解編)」この本のシリーズで(会計の基本の基本編)という本があるんだけど、さらっと立ち読みしたところそれは今まで勉強した範囲内のことが書いてありそうだったので、応用編に飛び級。
先生と生徒の対話形式で分かりやすかったです。ただしそれがしっかり頭に入るかどうかはもちろん勉強する本人次第です。この本を読み始めたあたりから、単に読むだけじゃ頭に入らん!ってことでノートにまとめ始めた。
この本は近年の会計制度改革で新たに導入されたことについての解説が肝。
つまり
・キャッシュフロー計算書
・連結財務諸表
・税効果会計
・時価会計と減損会計
・退職給付会計
の骨格を説明してます。今まで読んだ本より1ランク上な感じでちょっと理解につまづき始めたので3回くらい読んだ。ま、何回も何回も読んで、実務で実際に処理して自分のものにしていきたいっす。

これは経理部の2年目の後輩に借りた本。後輩が1年前に経理部に配属されたての時に部長に渡されて読んだ本らしい。ちょうど今の僕の立場と同じ時に読んだってことだから、レベル的にもちょうど良さそうってことで借りて読んだ。入社以来決算開示の手伝いで怒濤の忙しさで目の前の作業の処理に追われてたけど、この本で経理の仕事の1年のパターンとか提出書類の意味を俯瞰して考えられたのが良かった。
とりあえず今のところ読んだ本は以上。
本当はこんなブログなんか書いてないで勉強しなきゃいかんのだけど・・・

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本の感想

垣根涼介「ヒートアイランド」

垣根涼介著「ヒートアイランド」を読んだ。
こういう類いの小説は初めて読みました。
ハードボイルドっていうんですかね。
渋谷を舞台にしたチーマーvsヤクザvs強盗の三つ巴の戦い。
テーマは金と暴力。
最初っから最後まで男くさーくて、実際女はほとんど出てこない。
暴力シーン満載だから活字表現よりも、映画とかマンガみたいなビジュアルで見せた方が面白いんじゃないかと思ったら、映画もマンガも実際に作られてました。
かといって見てみたいとはあんまり思わんけど・・・。
暴力的な登場人物ばっかりだからその行動や発言に共感できるものはほとんどないけど、ちょっと心に残ったのがヤクザの黒木の思い。
「何も考えってない阿呆に限って、もっともらしい理屈をこねたがる」
なんとなく分かるなあ。
理屈をこねるんじゃねーよ!って親とか先輩とかに怒られた経験が誰でもあると思うけどそれと同じですな。ちょうど今会社の後輩を指導している時期なのでちょっと共感しちゃったわけです。
でもって、黒木の場合はもっともらしい理屈をこねた舎弟をボコボコにするわけですが、もちろん僕はそんなことしません。むしろもっともらしい理屈に丸め込まれちゃったりするわけです(涙)

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本の感想

伊坂幸太郎「チルドレン」

伊坂幸太郎著「チルドレン」を読んだ。
短編集かと思いきや、最初の短編の登場人物の「陣内」を中心にした一つの長編にも思える。
巻末の解説にあった著者の言葉を借りれば
「短編集のふりをした長編小説」
らしい。
ま、それだけでも今まで読んだ伊坂作品と毛並が違うんだけど、内容もちょっといつもと違う。読者を驚かせるようなトリックとか仕掛けとかもあるにはあるけどいつもよりは控えめ。
そのかわりなんかちょっとホロっとさせるっていうか、いいお話なのね。
登場人物の周りで起こるいろいろな出来事が、だんだん絡み合って最後には一つにまとまるっていう落とし方に伊坂節を感じるんだけど、あーなるほどってだけじゃなくて、ちょっと幸せな気持ちになれるお話ばかり。
全編読んで感じたのは、物事や出来事を一方向から見るんじゃなくて、多面的に捉えると本当の答えが見えたり、あり得ないことを起こせたりするかもしれないってこと。
パンクスの陣内や全盲の永瀬は、世の中のありきたりな既成概念に囚われた物の見方をしない(できない)。だからこそ他の人に見えないことが理解できるし、時には奇跡が起こせる。ありきたりな既成概念に囚われていないから、陣内も永瀬も年齢に関係なく「チルドレン」なんだよね。