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本の感想

龍時01-02

脚本家の野沢尚氏のサッカー小説「龍時01−02」を読んだ。この小説は続編が3巻まであって、おそらくその先も続くはずだったんけど、野沢氏が2004年に急逝してしまったので、その先はもう出版されることはない。残念ながら。・・・ホントに残念だ。それくらい面白かった。
会社の先輩が貸してくれたから読んだんだけど、正直言って読む前は、サッカー小説ってどうなのよ?って感じで期待してなかった。でも試合中のプレーは丁寧に描写されているし、クラブや選手名も実名で、サッカー協会やクラブの組織、代理人システムの構造なんかもリアルに描かれているし、なによりもストーリーが爽快でめちゃめちゃ面白い。
ただ、登場人物の人物像はあまりきちんと描かれていなくて、1冊読み終わっても、主人公がどんな性格でどんな雰囲気の人なのかイマイチ掴めなかった。このあたりはスターウォーズなんかのハリウッド映画に通じるところがあるなあ。登場人物がどんな気持ちで行動してるかっていうのはあんまり関係なくて、結果的にどういう行動をとったのか、いかにストーリーが大胆に進行していくかに重きを置いてる。これは野沢氏が脚本家ということも関係してるのかな。まあ、振り返ってみるとおそらくこの本を読む人は、主人公と自分を重ねて読むはずだからあんまり主人公を作り込まなくても良いのカモ。とりあえず、僕は完璧に龍時になりきって読んだね。最高だった。最後のクライマックスは展開がミエミエなんだけど、全然OK。
02−03(2巻ね)も既に借りたから、楽しみだ。3巻はまだ文庫になってないみたいだけど、2巻の展開具合によっちゃあハードカバー買っちゃうかもしれない勢いだ。それだけに、つくづく野沢氏が亡くなってしまったことが残念だったので、ちょっと調べてみたら野沢氏の死因は首吊り自殺だった・・・。龍時を読んでかなり元気をもらったのに。龍時にも命を削りながらサッカーしてるという表現があったけど、野沢氏も命を削りながら執筆してたのかな。いやもっと個人的な部分が理由かもしれない。
とにかく残念でしょうがない。ちばあきおの「プレイボール」みたいなもんだ。

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本の感想

読書感想文

会社の先輩から「たった三日で売れ出すキキダス・マーケティング」という本を借りたので読んだ。
僕の会社は販売促進とかマーケティングとかほとんど関係ないんだけど、お客さんに販促企画提案をすることがあるので、読んでみなさいということです。ハイ。
マーケティングって一般的には何%の人がこのように感じてるので、こういう企画をしましょうって筋道をたてることが多いと思うけど、それじゃーイカン!!と著者は言うわけだ。ざっくりと数字で把握するよりも、ひとりひとりの言葉を丁寧に分析しろと。
確かによくありがちなアンケートシートとかで
・パッケージの印象はどうか?
・値段は?
・量は?
とか漠然と聞かれても大抵は2番の「やや良いと思う」にマルしちゃうもんな。あんなのデータにならない。もっと具体的な言葉をキキダスべきだ!っていうのはうなずける。
うなずけたけど、それが仕事に活かせるかどうかは甚だ疑問だわ。

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美女と野球

「東京タワー」でたいそう涙したので、リリー・フランキーの他の著書も読んでみようと思い「美女と野球」というエッセイ集を読んだ。
感動実話の東京タワーとは正反対のシュールで下品なお笑いエッセイというのは予想してたけど、こっちの予想を遥かに上回る下品さだった。ホントに東京タワーを書いた人なのか?って思う部分もあったけど、かなり笑った。
コラムとかエッセイとか読むと、奇を衒ってるのがミエミエで本心じゃないだろー、って思うことがあるけど、リリー氏の場合は本気の変態が伝わってくる。
驚いたのはこのエッセイがクロスビートに連載されてたってことだ。全然音楽と関係ない気がするけど。

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本の感想

森のなかの海

宮本輝の「森のなかの海 上・下」を読んだ。阪神大震災の被災をきっかけに、夫と別れて二人の子供と人生を再出発する主人公と、同じく震災で家族や拠りどころを失った少女達の物語。奥飛騨の山荘で自然に囲まれて人間らしさをとりもどしていく少女達や生きがいを見つけだそうとする主人公のことを考えると都会での人間の社会はホントは人間らしくないんじゃないかと思う。人間であるまえに動物だってことも忘れちゃいけない。理性を捨てて本能のままに生きろということじゃないけど、もっと本能に素直で良いと思う。
まあ、僕が何を言いたいかっていうと明らかにみんな働き過ぎだろってこと。もうちょっとゆっくりでもいいはず。あくせく働いてお金をいっぱい稼いでも、そんなものは大震災一回でパーだ。あれほどの大きな自然の力の前では生き残れるかどうかは、運まかせにするしかない。
そういうことを達観して生きたい。最近そんなことをちょくちょく考える。
その一方で毎週のtotoも欠かさない僕。

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おとな二人の午後

年末からずーっと忙しい。まあ仕事が無いよりは良いけど。 なもんだから、寝不足が続いていて電車に乗ると即涅槃状態。そんな状況下でコツコツ電車で読んでいた五木寛之と塩野七生の対談集「おとな二人の午後」を読み終わった。対談集だし写真が多いから、ボリュームはたいしたことないのに、読み終わるまで1ヶ月くらいかかった。
この対談はローマで行われていて、写真もローマを中心としたイタリアの写真がたくさん載っているから、内容もイタリアンなのかと思いきや、イタリアとはほとんど関係ない。なんだかお金持ちで教養のあるお二人が、おとなの文化だとかハイソな生き方だとか、僕とは全く縁が無い世界を語った本だ。現実感がなくて、あこがれすら抱かなかった。二人は本の中で日本人について盛んにダメ出しをしてるけど、こういう日本人の日本人による自己批判を読む度に、日本人はホントに真面目だと思う。だってしょっちゅう「私達はこういうところがダメだ」って反省ばっかりしてるんだもんね。
他の国はどうだか知らんが、少なくともイタリア人やポルトガル人は自分達が他の国の人と比べて劣っていると感じる部分があったとしても「ダメだ」とは思わない気がする。 劣ってますけど、だから何?って姿勢のハズ。でなきゃもっと効率良い社会になってる。どっちが良いとか悪いとかじゃなくて、僕もやっぱり日本人だなあって思った。あれれ?何か論理の飛躍がありますか?

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本の感想

シリーズ第3弾執筆中らしい

ダヴィンチ・コードの主人公、「ロバート・ラングドン教授」シリーズの第1作「天使と悪魔」上下巻を読んだ。基本的な展開はダヴィンチ・コードに似ていて(正確にはダヴィンチ・コードが天使と悪魔に似ているんだけど)、ローマ版ダヴィンチ・コードあるいはベルニーニ・コードとも言える。
上下巻合わせて600ページ以上のボリュームなんだけど、これまたダヴィンチ・コード同様に物語はたった1日の中で起こった出来事を描いてる。ものすごいスピード感で話が展開するから何日も経ってるような錯覚をするけど、振り返ってみるとああ一晩の出来事だったのか、って感じ。どっちが面白い?って何人かに聞かれたけど、甲乙つけ難いなあ。でもついこないだローマに行ったばっかりだから、ローマの情景が頭に思い浮かんでくるという点で天使と悪魔のほうが楽しめたかも。
とにかく一度読みはじめたら止まらない。こういう本を「徹夜本」というらしい。僕は10日くらいかかったけど。しかもただ猛烈なスピードで読み流しちゃうような軽い話ではなく、科学対宗教という大きなテーマについても考えさせられる。物語の途中のカメルレンゴのスピーチは非常に感心させられるものだった。科学技術がどんなに進歩したとしてもそれを正しくつかいこなせるかどうかは人間の倫理観にかかってるんだなと、改めて。そんなことも考えさせられながらもどんどん話は進んでいくわけだ。まあ、ともあれ読んでください。
ところでダヴィンチコードと比べても全く遜色なく、こんなに面白いのにしかも1作目なのに、ダヴィンチ・コードよりも売れてないのはなんでだろう?多分発売のタイミングとか宣伝とかレオナルド・ダヴィンチあるいはモナリザの人気だとか物語の面白さとは関係ない要素が売れるかどうかを大きく左右するんだな、悲しいことですが。タイトルも「天使と悪魔」ってなんかベタベタだもんな。もちろん原題が「ANGELS&DAMONS」じゃー意訳しようもないけど。

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サッカー 本の感想

ベンゲルも凄かったが。

某デザイン雑誌編集長に勧められて「オシムの言葉」を読んで非常に感動した。 著者は旧ユーゴ・スラビアに詳しい木村元彦。
サッカーの名監督と言われる人はたくさんいるけど、チームを強くするだけじゃなくて、その国のサッカー文化を底上げしてしまう監督は少ないな。 選手、フロント、マスコミ、サポーター、サッカーに関わる全ての人の意識を向上させようとしてる気がする。レッズファンの僕がジェフの監督であるオシムに魅せられる一番の理由は、「オシム語録」という言葉も飛び出す程のひねりの効いたコメントが楽しいから。
でもこの本を読んで思った。自分の国が崩壊して、隣人が殺しあいをする悲惨な戦争に巻き込まれ、最後のユーゴスラビア代表監督になったオシムの言葉は単にウケを狙ったものじゃない。サッカーについて語っている時でも、サッカーを通して人生を語ってるんじゃないかって思える。憎しみあって(もちろんそうじゃない人もたくさんいて)バラバラになっちゃったユーゴスラビアのどの民族の人も偉大なサッカー監督と言えばイビチャ・オシムの名前を挙げるくらい有能で人徳のあるオシム監督。
全ての日本のサッカーファンは、そんな監督がJリーグに在籍してる幸せをかみしめましょう。

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本の感想

マルコ・ダンドロ

久々に風邪を召しました。土日一歩も外出てない。
先月親に借りた塩野七生のマルコ・ダンドロ3部作
「緋色のヴェネツィア」
「銀色のフィレンツェ」
「黄金のローマ」
を読み終わった。年末のローマ旅行の前に読み切りたかったんだけど、2册目のフィレンツェまでしか読めなかった。多分頑張れば読めたんだけど、1冊目があんまり面白くなくて、これをあと2冊読むのかー、ってちょっとうんざりしてたら、親が
「どう?面白いでしょ?でもまあ1巻が一番面白いんだけどね。」
なんて余計なこと言うもんだから、さらに萎えてローマ編は旅行後に読んだ。結局僕は、話としては2巻が一番面白くて、実際に旅したということで情景が頭に浮かんでくるという点でローマ編も楽しめた。ローマを旅して、かつ塩野3部作を読み終えて、思うことはやっぱりローマってヨーロッパの中でも特別なんだなってこと。ヨーロッパって石の建物が多いせいか、どこの街に行っても、400年前の宮殿だとか、1000年前の教会だとか昔の建造物がゴロゴロしてるけど、ローマはその「昔」のレベルと量が他の街と全然違う。
基本的に中心地は近代的なビルがほとんどない。ローマっ子が昔と言えばそれは紀元前を指す。
「あのコロッセオは昔に建てられました。サンピエトロ寺院はつい最近できました。」
てな具合です。それでもキリスト教の異教文化弾圧で貴重な芸術作品やら建物はかなり破壊されちゃってるみたい。
あーもっときちんと書きたいけど、頭が朦朧としてきたので終わります。次はダヴィンチ・コードのラングドン教授の初登場作品「天使と悪魔」(ヴァチカンが舞台なので)読みます。ではおやすみなさい。

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本の感想

気になるのはドコ?

「ヨーロッパ人の奇妙なしぐさ」ピーター・コレット著を読みました。
一口でヨーロッパといっても、地域によって文化や生活様式が激しく異なっているということを、色々な例を挙げて面白おかしく語った本。
BOOK OFFで100円で買ったんだけど、前の持ち主がページを折っていたり、横線を引いていたりして、どんなところに興味を持っていたかが分かって面白かった。
前のオーナーは「水洗便所」の章に非常に関心を示してらっしゃいましたね。
「トイレそうじに一番お金をかける国はドイツ」というところは二重線を引いて、余白にメモまでしてあった。
海外旅行に行ってトイレでイタイ目にあったんかな。
もうトイレがきれいな外国にしか行かねー!てな具合か??
ちなみに、僕がこの本で一番衝撃だったのは「清潔さ」の章。
フランスではいまだに毎日髪を洗うのは全体の5%。
16世紀頃には水が有害だと思われていた為、よっぽどのことがない限り入浴しなかった。特に子供は身体が弱いので、特別な配慮がされ、ルイ13世は7才になるまで一度も脚を洗わなかった・・・。
だから僕は下記の文章に横線を引いてこの本をBOOK OFFに捧げようと思います。
「アンリ4世の体臭があまりにもひどく、のちの婚約者マリー・ド・メディシスは初めて王にあった時気絶しかかった」

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本の感想

ダヴィンチ・コード

今さらだけど、ダヴィンチ・コードを読みました。
ミステリー小説というか謎解き系の小説だから、ネタバレしないように感想を書くのはほとんど無理なんだけど、これだけは言えます。
「最高に面白い」
基本的に通勤中に読んでんたけど、駅に着いてからも止められずに、ホームのベンチで座って読んだこともあるくらい、先が気になってしょうがない展開が続く。かなりスピーディに物語が進むので、上下巻のボリュームは全く感じない。
このスピーディーな展開は映画にしたら面白いかも。
って思ってたら、映画化するんですね。
読んでる途中で映画化を知ったんだけど、配役が全然僕の想像と違った。たぶん配役知らないで読んだほうが面白いので、その辺も伏せときます。
ちなみに僕の中でラングドン教授はジョン・キューザック。・・・みなさんはどうですか?
・・・ルーブル美術館行きたい。